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2020年12月2日水曜日

EVのチューニングについて考える(改造)

EV化の流れに伴い、将来的にはEV車メインのモータースポーツ時代が来るかもしれません。現代だと大きいところではフォーミュラEですね。


一般車もEV車になった場合、これまでエンジン車で行っていたチューニングメニューが大きく変わってくると思われます。
具体的にはエンジン車ならではのメニューである

①エンジンの効率の良い回転域を使うための複数ギア(クロスミッションへの変更等)

②出力向上を目的とした改造(ポート研磨等のエンジン本体の改造やマフラー等の排気系の変更など)

このあたりの改造がなくなり、EVならではのアプローチが必要になってきます。EVを動かす為の主なコンポーネントは大体4つです。

VCU⇒インバーター⇔バッテリー⇔モーター

VCUはエンジン車もありますが、車の頭脳です。インバーターはVCUからの命令(アクセルONとかOFFとか)を受けて、モーターに供給する電力をバッテリーから吸い上げ、供給する流れです。


今回は動力の要となるモーターを中心にチューニングについて考えてみます。

これは最大出力が約220kW(約300馬力)、最大トルクが約460Nm(約46kgf)という、現行車ではSUBARU WRXあたりの性能をもったモーターの出力曲線です。4500~4600回転あたりが最大出力となるようです。(濃い緑の線)

ただしエンジンと違って4600回転以降も出力はそんなに落ち込みませんので、ギアチェンジをさせる意味があまりありません。

例えば筑波サーキットを想定し、使う速度域が70km/h~180km/hだった場合、モーター回転数4500~12,000rpmが70km~180km/hになるギア比であれば、変速させる必要がないという事になります。(むしろ変速させた瞬間のラグの方がもったいない場合もある)

仮に225/45/17のタイヤを履いた車のファイナルギアが4.1とした場合、モーターのピニオンギア比(エンジン車で言うミッションの減速比)が1.9ぐらいであればベストマッチな感じです。(1.9というギア比は一般的な車の2速と3速の間ぐらい)

という事で、EV車でギア比チューンと言うのは「クロスミッション」という選択肢から、ピニオンorファイナル変更で使用する速度域に合わせた「固定ギア比」となりそうです。

ただギア比変えちゃうとスピードメーターが狂うのでVCUエラーが出そうですが、そこはキャンセラーがきっと出てくるでしょう←


一方で難しいのが出力向上です。

エンジンのボアアップのような、外見はそのまま中身を変えて出力を上げるのは難しく、モーターとインバーターの大型化、それを制御するVCUも制御変更することになります。さらにバッテリーも大出力に耐えられるか、という話にもなってくるので気軽に手が出せなさそうです。

もし流行るとしたらアクセルレスポンスを少し上げる程度のVCUセッティングぐらいでしょうか。


もしかしたらスワップキットという形で、モーター、インバーター、VCUのセットで販売される可能性は無くもないですが、全てをインテグレートできる会社は中々ないですし、バッテリーまで交換となると個人で購入するには高価すぎるので、2020年現在では想像しにくいビジネスです。とはいえ、色々な国で2030年を境にEVしか販売できない国も増えてくるので、現代の常識すら変わってくるかもしれませんね。(年々安くなってますし)

エンジンと違って部品点数は少ないですが、一つ一つが高価な上に制御変更が必要になるので、DIYやちょっとしたガレージでの改造は足回りやLSD、ギア比ぐらいしかできなくなるのでしょう。ある意味、強制的にイコールコンディションになるのでレース的には良かったり?

ちなみに日産関連会社のオーテックがリーフをチューニングしている記事がありますが、こちらにもVCUはチューニングできるが、駆動系(モーター、インバーター)の開発はコストが掛かりすぎるから断念した旨が記載されています。


世界各国で2040年までにほぼエンジン車の販売が禁止になる見込みなので、2030年頃に販売ているであろう最後のガソリンエンジンモデルはその後20年ぐらいは今の90年代のスポーツカーよろしく価格が高騰しそうですね。ただしガソリンスタンドも激減して不便になりそうですが。。。


改造するというハードルが高いですし、そもそも公道を走る車を改造するという概念も無くなり、手軽にいじれるラジコンやカートみたいなモータースポーツがメインになったりするかもしれませんね。

EVについては仕事柄携わることも多いので、今後も取り上げていければと思います。

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